2011年02月25日 Fri
●居住歴 5年 ●家族構成 夫(50代)、妻(50代)
20年以上前から、いつかは自分の家を建てたいと考えていたので、資料は集めていました。それまで住んでいた古い家にシロアリがでたので、それを機に建てることになりました。
「大草原の小さな家」のログハウスや「赤毛のアン」の家に憧れていました。しかし一年間のイギリス留学を経験し、考えが180°変わりました。伝統ある古い物を誇り、大切にし、そこに価値を見出しているイギリス文化に大きなカルチャーショックを受けたのです。それに比べて、伝統的な美しい建物は壊され、国籍不明の家ばかりが建ち並ぶ日本。私が家を建てるなら、その土地の気候風土に合う、外国の方に誇れる日本の家を建てたいと考えるようになりました。
他の設計士の方に図面を作成してもらったのですが、どうしても意見が合わず困っていました。その頃、さる方のご紹介で、松井先生に出会いました。気候風土に合い、自然に溶け込み、家そのものが呼吸しているような、健康的な、日本の木組みの家。希望通りの家を設計していただきました。
松井先生が最初に我が家にいらした時、古い納屋を見て「ここは湿気ますね」とすぐさま見抜きました。それまで見にいらした方は誰一人気づかなかったのに。建物そのものだけでなく、気候風土までも考慮した家づくりの姿勢に、「あぁ、この人だ!」と思いましたね。設計と施工が分かれている点も決め手でした。
木材の選び方です。木のフシが気に入らないからと、松井先生が用意された木材全てを取り替えたことがありました。私たちは、その木でも良いと思っていたのですが「あなた、この木を見て一生を暮らすんですよ」と言われてハッとしました。こだわりの深さに驚き感動しました。
手仕事の美しさを間近で見ることができ、とても感激しました。どの職人さんも、まるで遺跡発掘現場のように丁寧で美しい仕事をされていました。それだけレベルの高い職人さんが揃っていたのだと思います。隣の敷地で建てていたので、毎日、大工さんとお茶を飲みながら話しました。あの時間は、一生の宝物です。
言葉にできないくらい満足しています。夫が「家に帰ってくるのが楽しみだ」と言いますよ。ただ、旅行に出かけて素敵な旅館に泊まっても物足りなくなってしまったことが、ちょっとした悩みですね。上質の旅館に泊まっても、「我が家の方が素晴らしい」と感じてしまうので。
以前から有機野菜などの食材を購入したり、お気に入りのセーターを長年着用したり。ナチュラルで、大量生産品を求めない暮らしを実践していました。この家に住むようになってからは「いいものを長く大切に使う」というライフスタイルが、より一層はっきりしてきました。
皆さん、家に入った瞬間に「木のいい香りがする」と驚きます。我が家に訪れたいという人が増えましたし、仕事の同僚はみんな遊びに来ています。心の底から「うらやましい」と言われることが多く、「この家の猫になって、ここに住みたい」と言った人もいましたね。お客さまが、なかなか帰りたがらないので困ってしまうほどです。
ぜひ薦めたいですね。高気密・高断熱の住まいを望まれる場合は難しいかもしれません。しかし木組みの家はいいですよ。ある程度の予算は必要ですが、それ以上のものが得られます。
飽きのこない、不満が一つもない素晴らしい家を建てることができました。ここで一生を終えたいと思っていますし、私たちが死んだ後も、誰かが住んでくれる家だと感じています。私たちの家を通じて、日本の伝統の良さを感じていただけたらと思います。木組みの家は耐震面でも強いと思いますよ。限られた資源と自国の文化を大切にできる住まいを選んでほしいですね。