Q&A

よく寄せられるお問い合わせをまとめました。
掲載のない内容に関するご質問などにつきましては、どうぞお気軽にお問い合わせください。


◎木組の家について

Q1. 松井事務所と家を建てると、何が違うのですか?

松井事務所のつくる家は、国産材無垢の木と漆喰でつくる木組の家です。木組とは、伝統に学んだ知恵を元に、地震に強い構造の丈夫さ、快適な温熱環境、素材の良さ、使いやすさをトータルにデザインしきた日本の家です。信頼できる工務店や腕の良い職人との協働によって、コストパフォーマンスの良い家をつくります。建て主様の、ご要望やご意見を反映した、オリジナルの家です。自然素材を使い、手仕事の職人技で、ご予算どおりの満足のいく家をつくります。建売住宅のように、既製品を集めてもよい家にはなりません。真の豊かな暮らしができる快適な家をつくります。住まい方を固定しない家づくりです。工事価格についても、見積もりを提示し査定をして納得のまで調整します。価格の見える「コストバランス表」を作成し費用を比較しながら進めます。住まいは、ご家族の生活を包む「しあわせの器」だと考えています。ご家族のみなさんの夢をかたちにする事が、わたしたちの仕事です。

Q2. 建築家の建てる建物は、高いイメージがあるのですが?

当事務所でこれまで手掛けた住宅の工事費で最も多かった工事費の坪単価は、90〜150万円代です。一戸建ての総工事費は3000万円前後になっています。住宅金融支援機構によれば、東京の一般の戸建ての坪単価は90.3万円だということです。実勢は意外と高い家づくりになっていると思います。松井事務所の木組の家は、何世代も住み継げる寿命の長い家です。「組んでは、外す」という日本民家の木組の特性で、将来の移築も可能です。家づくりは、長い時間で考えることが大切です。また、コストコントロールもわたしたちの仕事です。わたしたちは住まい手のご要望にお応えすることを第一義に考え、ご予算の範囲で知恵を絞ることが仕事です。手の届く価格で、質の高い家をつくりたいと考えています。 また、素材を吟味するために、直接、山に木を買いに出かけることもあります。設計は、住まい手のみなさんに満足していただけるよう、コスト面やデザイン面のバランスをコントロールすることが大切だと心がけております。

Q3. 設計料や工事費は、どのくらいかかりますか?

設計料は、設計の内容や工事金額によって違います。工事費の料率により2000万円台は工事費で15%が目安で3000万円台は14%で4000万円台は13%というふうにスライドして下がります。工事総額は、ご要望に応じて一概には言えませんが、新築住宅で坪単価100万円前後からと考えてください。ただし、狭小住宅の場合は、どんなに小さくても最低2500万円はかかります。工事費には本体工事と設備工事がすべて含まれています。カーテンは含まれませんが、造付家具、厨房機器、衛生設備、電気設備を含んでいます。工事費と設計料の他に、確認申請と中間・完了検査の費用が必要です。構造設計が必要な場合は、別途実費を申し受けます。また省エネ等級など、住宅性能評価書をご希望の場合は、申請費が別途となります。

Q4. 木の家は、地震に強いのでしょうか?

地震国である日本では、昔から地震に強い工夫がされてきました。それが「貫」や「足固め」です。 ともに木の特性である「めり込み」や「摩擦」を活かし力をいなして、変形しても倒壊しない「復元力」のある「粘り強い」家をつくります。 松井事務所のつくる家は、ご家族の命を守るための丈夫な家づくりを目指しています。

足固めとは

「足固め」は、石の上に直接柱を建て、柱の足元が開かないようにするために必要な部材です。むかしから足元を丈夫につくるための工夫です。柱を起立させることができる大切な構造材ですが、阪神大震災まで、忘れられていましたが、国土交通省の実施した実大実験によってその重要性が認められました。わたしたちがつくる木組の家では「足固め」を使い地震に強い家をつくります。

貫とは

柱と柱を貫く構造材です。「貫」の壁は大きな地震で大変形しても粘づよく建物を維持します。建物が大きく傾いた後も元に戻すことができる「復元力」にも優れています。わたしたちのつくる「木組の家」は、崩壊しない生存空間を確保するために必ず壁の中に「貫」を通します。「貫」はむかしの知恵をいまに生かす大切な工夫です。「貫はやめてはいけない」と考えています。当事務所では、すべての家に、大切な家族を守るために「貫」を実践しています。

Q5. 相談をしたいのですが、どうすればいいのでしょうか?

まずは、メールもしくはお電話いただき、本来ならば事務所においでいただくのですが、リモートでのご相談も受け付けております。来ていただければ、 事務所内には木組の実大模型があります。お話しは木組の打ち合わせ室で伺います。 ショールームのように写真パネルやサンプル展示もございます。 相談は無料ですので、まずはメールでお気軽にご連絡ください。

Q6. 相談するにあたって、何か準備することはありますか?

まず土地の資料をご準備ください。こちらで準備した設計要望シートに実現したい想いやご家族の生活、ご予算などをかきこんでください。 下記からダウンロードしてください。 設計要望シートは、こちらからどうぞ。

Q7. 敷地が決まっていないのですが、相談にのっていただけますか?

もちろんです。敷地によってどれくらいの建物が建つのか、予算のバランスなども総合的にご提案いたします。 検討中の敷地を見て、どれくらいの建物が可能かをアドバイスすることもお手伝いできます。一案30万円ですが、設計契約していただければ設計料に含まれます。設計要望シートは、こちらからどうぞ。

Q8. マンションリフォームなどの改修も、相談にのっていただけますか?

もともと古い建物の再生を得意とする事務所ですがマンションリフォームも実績があります。建物を実測調査して、温熱環境の向上など、省エネルギー対策についてもご提案いたします。 建物を拝見するための費用はかかりませんが、実測調査費用は、建物によりますのでご相談ください。

マンショリフォームの事例です。

Q9. 予算も、相談にのっていただけますか?

もちろんです。ご希望の予算を考慮したうえで最大限の提案をさせていただきます。空間のイメージをそのままに、工法や仕上げ素材でコストダウンを図ることも可能です。コストバランスの表を使ってご説明します。

Q10. 正式に依頼する前に、検討のために図面を書いていただくことはできますか?

設計要望シートでご要望をお聞きした後に、敷地を見せていただければ、簡単なアイディアスケッチですが一案お書きすることができます。2~3週間ほどお時間をいただき、簡単な図面でプレゼンテーションいたします。費用は30万円ですが、そのまま設計契約進めれば設計料に含まれます。お気軽にお申し出ください。

Q11. 自然素材の木組の家、古民家に興味があり、ゆくゆくは建てたいと考えています。もっと詳しく知りたいのですが、どの書籍がおすすめですか。

松井郁夫執筆の本は、こちらからご覧ください。

Q12. 遠方でも大丈夫ですか。

松井事務所では全国各地で木組の家をつくり、古民家の再生を行っています。その土地の気候・風土・街並に沿った木組の家や古民家の改修などをご提案させて頂きます。

Q13. 設計を依頼するときに、気をつけなければいけないのは、どんなことですか?

いちばん大事なのは、間取りは書かずに要望は言葉でいただけると助かります。ご自分の希望と予算とをはっきり示してご相談ください。予算と希望がはじめから明らかになっていれば、優先順位をつけながら、ベストな答えを見いだすことができます。また、間取り図も書かれてしまうと、設計者の発想に蓋をしてしまいますので、言葉でいただきイメージの膨らむまでお待ち下さい。専門家による思いもかけない良い提案が待ってます。

Q14. 木組の家に魅力を感じています。伝統構法で家を建てたいのですが、とても高価な気がするし、いまどき伝統の木組が出来る職人さんはいるのでしょうか?

木の家は高いという風評は根強く、最初から、あきらめている方がほとんどですが、そんなことはありません。設備や間取りをシンプルにすれば、手の届く価格で、無垢の木の木組の家を建てることができます。伝統構法の木組は、どんな職人さんでも出来るとはいえませんが、まだまだ若い人にも木組の仕事のできる職人さんはいます。松井事務所がつくる家の現場では、腕のいい大工職人さんが40代50代を中心に仕事をしています。なかには30代の棟梁もいます。松井が講師を努めた「大工育成塾」で育った職人さんです。 大工ばかりでなく建具や左官も伝統的技術をもった職人も協働しています。

Q15. 最近の家は金物を使うことが主流と聞いています。木組の家の場合も、筋違を止めるにも、柱を止めるにも金物を使うのですか?

建築法規では、金物の替わりに「木の栓」を使ったり、「貫」という横材で筋違の替りをしたりすることも許可されています。金物よりも「貫」などの木と木の組み手のほうが、繰り返しの揺れに、粘り強く抵抗することが実験で分かっています。金物は木よりも強いので、金物が木を折ってしまうことがあります。むかしから、大工の口伝では「豆腐を針金で釣ってはいけない」と言われています。また再生が可能なのは、金物をできるだけ使わない「木組の家」です。 一般に筋違を使うのは、簡便に強い壁ができるからですが、筋違が建物を突き上げて壊してしまうことが九州の地震で見かけられました。筋違のない伝統的な石の上に置いただけの建物でも、「限界耐力計算」で安全を確かめることもできます。お気軽にご相談ください。

Q16. 木の家には住みたいのですが、無垢の木は割れたり反ったりしませんか。木は乾燥が大切と聞いています。どれくらい乾燥した木を使えばよいのでしょう?

無垢の木は、乾燥する途中でひび割れたり反ったりします。これは木が呼吸して生きている証拠です。ひび割れも強度には影響がありません。また無垢の木には湿度を調整する作用があり、気持を癒す香りがあります。これは人工的に乾燥させたのでは逃げてしまう成分です。木の持つ吸放湿性能は、常に人体に最適な環境をつくります。また、ひび割れや反りも梅雨時には閉じることもあり、気候次第で変化します。乾燥の度合いは、天然乾燥材の杉で含水率25%が適切だといわれていましたが、最近になって30%でも国が認めるようになりました。

Q17. 木の家といっても外部には木を見せられないと聞いています。特に都市部に建てる場合は、やはり木の家らしくない外観になってしまうのでしょうか?

都市部では建築規制によって、木の使用が限られていると思われていますが、2000年の建築基準法の改正によって、一定の性能をクリアしていれば外部の板張りも可能となりました。例えば、外壁の性能を基準に満たすような防火構造にすることによって、都市部の準防火地域内でも木の外装ができます。また実験によって、木を太くする「燃えしろ設計」を採用すれば木造でも「準耐火建築」とすることができます。作品集の「高円寺の家」は、新防火地区での燃えしろ設計で外壁には木を貼っています。まだまだ、木には可能性があると考えています。

 

◎古民家再生について

Q1. 古民家とは具体的にどんな民家のことですか?

一般的に、伝統構法によって江戸時代から明治・大正を経て、第二次世界大戦前までにつくられた木の家のことを「古民家」と呼びたいと思います。

学術的には、明治24年に起きた濃尾地震の折に外国人建築家たちによって洋式の耐震部材が挿入される前の日本の民の家を言います。

古民家には時代や地域、使用目的(農家、町家など)によってさまざまな建築様式があり、岐阜県白川郷の合掌(がっしょう)造りや岩手県などで見られる曲屋(まがりや)など全国に古民家は残っています。

Q2. 伝統構法とは何ですか?

古来より日本で培われてきた、木組の技術です。木と木を組むことによって、しなやかで粘り強い接合部を持つ架構技術を言います。貫、土壁などが用いられ、素材の柔軟性を活かした復元力を持った構造です。組んでは外す移築・再生の仕組みも持っていますので、長寿命です。

一方、柱や梁を金属ボルトで固定したり、壁に「筋違い」を入れたりと、西洋化された現代の工法を「在来工法」といいます。戦後に簡便化された大工技術で現在ではプレカットでつくることが出来ます。金物に依存し、木組のしなやかさがないので、強いのですが脆い欠点があります。

Q3. 木組の特長を教えてください。

「木組」とは、「継手」や「仕口」と呼ばれる接合によって木と木を組み合わせる技術のこと。がっしりとした木と木を組み上げることで地震や自然災害にしなやかでねばり強い家になるだけでなく、金物で接合部を固定しないため、木の特性である、「めり込み」の強さと「ねばり」強さを発揮して、変形しても元に戻る「復元力」のある建物をつくることができます。何度でも組んだり外したりできるので、別の土地にそのまま「移築・再生」することも可能です。

Q4. なぜ100年以上前から使われている木材を使うのでしょうか?

200年生きた樹木は、200年間の命があるといいます。樹木の寿命は建物の寿命なのです。古民家の柱や梁に使われているのは、まさにそうした木材です。良質な木材は、乾燥や加工にじっくり時間をかけることで寿命の長い木材となります。

傷んだ部分があっても、メンテナンスすることで長く使えます。しかも、古民家で使われている木はよく乾燥しており、ホルムアルデヒドなどの人体に害をおよぼす化学物質を出すこともありません。古いから不安なのではなく、むしろ古いから安心できるのです。

Q5. 古民家再生に興味があるのですが、まずどうしたらいいですか?

まずは当事務所にお気軽にご相談ください。お目当ての古民家がいくつかある場合は、これまで数多くの古民家調査・耐震エコ改修・再生に関わった設計士が現地調査にご同行し、再生可能かどうかをしっかり判断します(※1)。

ご要望があればさらに実測調査を行い、詳細な報告書をお出しすることも可能です(※2)。断熱エコ改修のご提案などもできるのでおすすめです。 詳しくは古民家再生の流れをご覧ください。

※1…調査費用5万円、簡易報告書作成3万円(税抜)と交通費をいただきます
※2…本格的な実測調査は 30万円~(税抜)になります

Q6. 対応エリアを教えてください。

松井郁夫建築設計事務所では、東京をはじめ全国の古民家を対象に調査・修復・再生を行って実績を重ねております。ご要望を踏まえた古民家のご紹介も可能ですので、ご相談ください。

Q7. 設計監理料金は一律ですか?

設計監理料は工事金額にスライドしますので一律ではありません。目安は工事費に応じて12%から15%です。たとえば工事費が2,000万円の場合は15%になります。3,000万円では14%に、4,000万円では13%と工事費に応じてスライドします。ただし、物件の内容によっては+1%となることがあります。

Q8. 設計契約の前に図面をいただくことは可能ですか?

実施の図面は設計契約後の作業となりますが、敷地を見せていただければ「アイディアスケッチ」を一案ご提出することは可能です。その場合は2~3週間ほどお時間をいただき、アイディアスケッチとパースを作成してプレゼンテーションいたします。その後、設計契約に至った場合は費用の発生はありませんが、契約に至らなかった場合のみプレゼンテーション費用(30万円/税抜)がかかります。

Q9. 自然素材として人気の漆喰について、メリットを教えてください。

漆喰は石灰を主成分とした自然素材(天然素材)で、土壁の上に塗ることで高い調温湿効果と吸放湿効果が得られるのが特長です。蓄熱蓄冷性能もあり室内の空気を清浄に保つ効果もあります。また、白い壁は光を拡散し室内を明るくします。

Q10. 「パッシブデザイン」とはどんなデザインを指すのですか?

建物の周りにある自然が持つエネルギー(太陽光、太陽熱、風、水)を活用し、できるだけ電気や灯油などを用いる設備にたよらず、省エネで快適な暮らしを実現するための設計やその工夫です。

具体的には、越し屋根には排気と排熱効果があります。さらに無垢木や土壁による、湿度の高いときには湿気を吸収し、低くなれば放出するという調温調湿作用があります。

伝統構法による開放的な間取りは、蓄熱、温度差換気による風の通り道をつくりだすことがあり、夏涼をしく過ごすことが出来ます。漏気を防止し、断熱性能を上げれば、冬温かい住まいが出来ます。

Q11. 古民家を再生した家の、デザイン性はどうなのでしょうか?

古民家を再生したからデザインに難がある、ということは決してありません。

むしろ現代のライフスタイルに適したスタイリッシュな家につくり変えることができます。古民家再生では、今では採れなくなった良質な木材を活かし、現代生活に合うように再生することです。自然素材に囲まれた豊かな生活を送ることが出来ます。

古民家のスタイルは、洋風、和風、モダン、レトロなど、コンセプトによっていろいろなデザインでつくることができます。 詳しくは、作品「古民家再生」をご覧ください。「懐かしい未来」の生活が待っています。