プロジェクトレポート
2014年11月24日 Mon
年末にかけて、講演会が増えてきました。
12月3日には千葉で、「和の住まい」シンポジュウムに参加予定ですし、13日には、公開フォラム「伝統的木造住宅はどこにむかうか」ー省エネルギー基準義務化を見据えてーにパネラーとして参加。14日は滋賀の木考塾にて、「伝統構法の行方」について講演、18日は、岐阜県のスキルアップ講座にて木造住宅の設計法について講演、年明けは、やはり岐阜にてWOODAC主催のフォラムに「耐震エコ改修から考える伝統民家」の講演予定、等などです。
わたしに話せることは、伝統構法の実大実験の所見だとか、木組みと省エネの家づくりとか、古民家の再生ですが、これまでの講演会では、皆さん大変熱心に聞いて下さるので恐縮するばかりです。
講演会が増えているということは、今の時勢に必要とされている内容があるというふうに考えれば、ありがたいことです。(我田引水ですが・・)
講演に何を期待されているのかと考えて、勝手な解釈をすれば、伝統構法も、木組みの家づくりも、省エネも、古民家の再生も、すべて、現代住宅事情に関連していることなのです。(これも我田引水かなぁ?)
伝統構法を標榜する人たちは、実践している人も、していない人も含めて、このままでは日本の家づくりから伝統構法が消えてしまうのではないか、という危機感があると思います。
木組を実践したいと言う人は、日本に伝わる継手・仕口を駆使した、本来の家づくりのノウハウが知りたいのだと思います。やはり伝統構法を継承したいとかんがえているのでしょうか。
省エネルギーの話題を取り上げる人は、2020年の改正省エネルギー法の義務化を控えて、伝統的な木造住宅と温熱性能をどう融合してゆくのかを心配しているのだと思います。
古民家は、まさに伝統構法や、木組みの基本ですが、講演ではなくて、実際の古民家再生の調査依頼が増えています。もちろん講演の内容にそのエッセンスは出てきます。
実は、いま日本の住宅産業は、これまでに経験したことのない「空き家問題」に遭遇しています。すでに全国で、820万戸を超える空き家が発生し、住宅全体の13.5%が人が住んでいない状態です。2040年には、さらに40%に増えるという予測です。隣の家が空き家という時代が来るということでしょうか。
一見無関係のような伝統の木組や古民家は、この大きな社会問題となる「空き家対策」にもリンクしてゆきます。
つまり、空き家活用には、古い建物を直して住む場合、リフォームもしくはリノベーションの技術が必要になります。そこで、むかしの家の工法を知ることが必要になります。
さらに、耐震改修はもちろん、温熱の改修も必要となります。そのノウハウを身につけるために、これから私たちはさらに修練を積む必要に迫られているのです。これからの住まいづくりの課題にどれだけ寄与し、「地方創世」を実現できるか。まさに、正念場の時期に来ていると思います。
講演会を通して、みなさんと一緒に実践の道を探りたいと思います。どうぞご来場ください。