プロジェクトレポート
2018年03月31日 Sat
義叔父の家「西荻窪の家」が壊されることになりました。
わたしが木組の家を目指すきっかけになった、建築家:小川行夫先生の作品です。
妻と結婚してすぐの宴会の後に、義叔父に連れて行かれた家の衝撃は、今でも忘れません。
低い塀の向こうにたたずむ真壁の平屋。和風なのにどこかバタ臭い外観。
玄関に入ると正面には、ドウダンツツジ。美しい床板の厚みと感覚を確かめたくて、思わず靴下を脱ぎました。
庭に生えていた桐の木を床柱にした茶室。入り口の切目縁。月見台の頭上に掛けられた、弓なりの丸太梁。
スキップした床の階段は、元の家の無垢の梁材。床から浮いた食堂の家具。
廊下の突き当りはガラスの壁。そこに突き止めの戸が当たるディテール。
深い思考の末に、練り上げられ、造られた「木組のモダニズム」だと思います。
数年前に義叔父は一人になってしまって、このたび敷地ごと売ることになりました。
この家に出会わなければ、今の自分はいなかったと思います。
わたくしの人生を変えてくれた家とのお別れは、本当に悲しくて、残念です。
いましばらく、壊される前のひとときを、じっくり味わいたいと思います。
義叔父の厚意で、見学会を開催させていただくことになりました。
追ってご案内いたしますが、参加ご希望の方はメールにてお知らせください。
4月22日を予定しております。