プロジェクトレポート
2013年06月12日 Wed
都会では狭い敷地が多くなったのか、徐々に小さな家が増えているようだ。当事務所でも最近、小さな家を依頼されることが多くなった。
とはいえ都市に生活する人たちにとっては、狭いながらも、住めば都。夢を実現する設計者としては、狭い敷地を有効に生かすことは当然ながら、住まい方に工夫を凝らして努力する。これまでも、大きな豪邸ばかりを手がけていたわけではない。標準的な30坪くらいの建物が多かったが、さらに広さを絞ることになってきた。
通常ならば、一定の広さを確保できていたのに、最初から違う。型にはまったルーティンワークではすまない。無駄を徹底的に洗う作業が続く。空間のどこを絞るのか。これが意外と楽しくて、面白い。
小さな家づくりには、コツがある。最小限住宅という言い方があるように、ぎりぎりの狭さで生活することを考える。こうなると、人の体の大きさから必要な空間を確保する作業となる。人間工学の探求だ。
かといって、機能本位ではなく、癒される住まいでありたい。宇宙ステーションのような空間では落ち着かない。これまでのような常識や定番を見直す。トイレや水周りなどの単位寸法を見直す。さらに玄関や階段の最低限の大きさはどのくらいか。導線は短く、むしろなくする。
それでも、窮屈に感じない室内をつくるには、絞るところは絞るが、必要な広さは確保する。広げられるところは広げる。敷地の狭さのために、横に広げることはできなければ、縦がある。小さな家の空間は、断面で考えるということか。気積は大きくできるから。
究極は、狭さを感じさせないのがいい。出来上がりが、さりげなく普通の家に見えるといい。小さな家には、意外性と驚きと平穏がある。さぁ、知恵を絞ろう!