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2014年09月08日 Mon

古民家再生ゼミ・始動予告

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新築住宅の建設が伸び悩む中、中古住宅を改修して住む人たちが増えています。中でも建てられてから百年を超える古民家は、太い柱や梁、土壁などの素材の良さもあって大変人気があります。

わたくしも古い町家に育ち、歴史的な町並みの保存に若いころから取り組み、事務所開設時から古民家の再生に取り組んできました。さらに、古民家から得た伝統的な木組みの素晴らしさを、新築住宅の設計に生かしてきました。

そこで、これまでの経験を生かして、古民家に息づく伝統技術を多くの方に知ってもらうために、古民家の歴史や架構の仕組みを学ぶゼミナールを開くことにしました。

まずは、座学で古民家とは何かを学び、次に実測調査を行い、実際の古民家の寸法を採り構造を学びます。さらに、架構を生かした再生のデザインを演習します。 むかしの知恵や工夫をいまに生かし、みらいにつなぐ実習です。

古民家から日本の家づくりの基本を身につけ、実務に使えるゼミにしたいと思います。

古民家に限らず中古の住まいのリフォームにも役に立つと思います。興味のある方は、どなたでも参加できます。現在日程を調整中です。正式の応募はこの後すぐです。

どうぞご期待ください。

 

 

2014年09月03日 Wed

「佐倉の平屋」構造見学会のおしらせ

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武家屋敷のある佐倉の町に、国産無垢材の「木組の家」が上棟しました。
子育て世代の家族4人で住む、軒の深い平屋です。

吉野の美しい天然乾燥材を、職人の手で刻んで組上げました。
金物に頼らない木組の家は、架構がそのまま空間になります。

地震国日本で古来から受け継がれてきた,木の特性を生かした民家の知恵「足固め」と「貫」構法を採用し、継手・仕口と呼ばれる木組みの加工をしています。大きな地震にも、めり込みと摩擦によって力を減衰し、粘り強く倒壊に耐えます。地震国日本の伝統を生かした丈夫な架構です。

さらに、時代を見据えた「省エネルギー対策等級4」を取得した高断熱に加え、エアコン1台でほぼ全室を空調する温熱の性能向上を実現し、伝統構法でも低燃費を図りました。自然素材である無垢の木と漆喰が、調温・調湿してくれるので、体にやさしく健康な温熱環境です。

本物の木の家は、時間がたつほどに美しく経年変化します。飽きの来ないシンプルな架構は、世代を越えて受け継がれ、長く使える資産になる住まいです。

構造見学会は、木組の家の醍醐味である「骨組み」をみることのできる、またとない機会です。

現場の近くには、松井が保存調査に参加し、公開している武家屋敷や美術館、国立博物館もあり一日中楽しめる歴史の街です。遠足に行くような気分で、足を延ばしてみませんか?

皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。

佐倉武家屋敷 但馬家

佐倉武家屋敷 但馬家

佐倉武家屋敷 河原家

佐倉武家屋敷 河原家

 

 

「佐倉の平屋」構造見学会

開催日時:
2014年9月14日(日)
11:00~16:00
対象:家づくりをご検討の方
※一般向け見学会ですので建設業関係の方のお申込みはご遠慮ください。

印刷用高画質案内はこちらです

お申込み先:
松井郁夫建築設計事務所
電話:03-3951-0703 メール:ok@matsui-ikuo.jp

松井郁夫建築設計事務所お問い合わせフォーム

2014年09月03日 Wed

「佐倉の平屋」建方の動画を公開中!

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「佐倉の平屋」の建方をYouTubeに掲載しました。

金物に頼らない、美しく丈夫で長寿命な「木組みの家」の醍醐味です。
一本ずつ手で組みあげます。複雑でとても丈夫な継ぎ手「金輪継ぎ」で材をつなげるシーンも見所です。
むかしからいまに受け継がれてきた優れた大工技術を、ぜひご覧ください。

2014年09月02日 Tue

【民家を住む。】TURNSに「き」組広告

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「き」組広告「TURNS vol.10」

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民家を、住む。

家は、家族の暮らしを守ること。まずは、丈夫な骨組をつくります。
「古民家」に学んだ「き」組のパッシブハウスは、 優れた職人技術を伝え、
100年住み継げる、これからの「民家」です。
無垢の木と土を使い、燃費の良い、長く愛される美しい「民家」をつくります。

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TURNS Vol.10表紙 人、暮らし、地域をつなぐ「ターンズ」Vol.10に、「き」組の広告が掲載されました。

民家に学んだ、ワークショップ「き」組の家がつくる民家ってすてきな現代住宅ですよ。

写真は、長野県上田市の古民家を再生した「田舎暮らしを楽しむ家」です。

ぜひ書店でお手にとってご覧ください。

 

(印刷用高画質PDFはこちらです)

2014年09月01日 Mon

「佐倉の平屋」上棟しました

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木組みの家「佐倉の平屋」上棟

「佐倉の平屋」が上棟しました!

 

平屋なのでレッカーを使わず、太い材料を手で上げました。
タケワキ住宅建設の若き棟梁篠塚さんとベテランの原田さんの刻んだ材木です。

 

木と木を継いでいくための「継ぎ手」の中でも、最も強く、手間のかかる「金輪継ぎ」を、全ての箇所でつくってくれました。

 

きめの細かい吉野の材が、掛合(木槌)で一本ずつ打ち込まれ、見事に組み上がりました。 金物を使わないから美しく、「貫」と「足固め」によって、しなやかで丈夫な木組みの家の上棟です。 おめでとうございます!

 

深い軒で夏の日射をカットし、冬は少しの暖房であたたまる、 次世代省エネ基準をクリアした「省エネ等級4」の木組みの家です。

9/14(日)の構造見学会にぜひお越しください。

美しい無垢の木の架構と、丈夫で長寿命な木組みの家の、醍醐味が体験できます。 みなさまのお越しをお待ちしております

 

木組みの家「佐倉の平屋」建方

まず柱が建ちます

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平屋なので手で上げます!

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棟を叩いて組んでいきます

木組みの家「佐倉の平屋」建方2

丈夫な「金輪継ぎ」

木組みの家「佐倉の平屋」建方3

屋根を支える垂木にも栓を

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上棟式の後は「直会」です

 

2014年09月01日 Mon

防災の日に命を守る家づくりを考える

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今日は、関東大震災が起きた日を記念した「防災の日」です。 TVや雑誌では、これから起こるかもしれない巨大地震の可能性について話題になっています。阪神大震災から20年の間に山古志村や東北大地震が起きましたから、地震国日本では、いつ地震が来ても不思議ではありません。 そこで設計者としては、まず第一に家族の命を守る家づくりを考えなければなりません。そのためには、長い時間が経過した古い建物の造り方に注目したいと思います。 松井事務所では、古民家に採用されている、柱と柱を縫うように入っている横材「貫」に注目しました。また柱の足元を堅牢に固める部材「足固め」にも注目しています。 実験の結果「貫」と「足固め」を入れた建物は、大きく変形しても崩壊することがありませんでした。柱が折れましたが、余力10tを残して傾いたまま止まりました。これは注目すべき事実です。巨大地震が来ても、崩壊することなく人の命を守ることができれば、建物としては役割を果たしたといえます。 貫は柱を貫いているため、めり込みに強く、大きな力で貫をつぶすには困難だからです。これは、木の持っている特性で、何段にも入れられた貫は日本建築の特徴でもあります。 当事務所では「貫をやめてはいけない」を基本に、丈夫で粘り強い壁をつくっています。貫で倒壊しない図1

ダイジェスト:伝統構法・日本の家_ページ_020

大変形しても倒れない伝統構法の家

ダイジェスト:伝統構法・日本の家_ページ_021

60センチ傾いても余力10tで倒壊しない

ダイジェスト:伝統構法・日本の家_ページ_047

倒壊しない「貫」構法の壁

 

2014年08月23日 Sat

8月末より講演会ラッシュです!

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猛暑の中、異常気象が日本中に被害をもたらしています。全国各地で災害に見舞われた方々には、お見舞い申し上げます。

さて、わたくしの講演会が、今月末より目白押しです。多くのみなさんが、今わたくしに講演会を依頼され、期待されていることは、おそらく、伝統的な日本の家づくりがこれからどこへ向かっているのか、を確かめたいのだろうと察します。

つまり、5年間に及んだ国の伝統的木造住宅の実大実験の成果は、どうなってゆくのか?

2020年より義務化される、省エネルギー法改正に伝統的な木造住宅は、乗り越えられるのか?

日々、伝統的な構法で研鑽を重ねる工務店さんや大工さんは、今後の行方が気になるのも無理はありません。

わたしの立場は明快です。伝統構法の家づくりは、次々と繰り出される国の制度改正を乗り越えて、さらに進化してゆくべきだと考えます。

そこで、以下の講演会を行いますので、どうぞお時間の許す方はお運びください。

8月27日 14:00~ 優良工務店の会 九州地区勉強会
「進化してゆく木造住宅」
博多アーバンスクエアビル11階会議室
(財団法人・住宅産業研修財団福岡事務所 092-418-8120中村)

9月1日 18:00~ 伝統木造の会 東海事務局 
「これからの伝統木造の姿」
名城大学名駅サテライト 名古屋駅前桜通ビル13階 多目的室
(東海林建築設計事務所内 ・引越ししましたので、番号をお間違えの無いようお願いします。)
TEL:052-853-9817 FAX:052-853-9818
E-Mail :info@tokairin.jp  (TEL・FAX:052-853-9724 ACC事務局)

9月4日 16:45~ 住宅医・東京
「古民家再生から見える日本の家」
AGC studio AGC旭硝子ショールーム(住宅医協会 06-6454-3465 藤村)

9月28日 9:00~ 伝統木構造講座
「伝統構法の行方(仮)」
姫路商工会館 (㈱兵庫確認検査機構 079-289-3002 中安)

 

140901勉強会の御案内

140901勉強会の御案内

 

2014年08月14日 Thu

「松本城の見える家」が始まります

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木組みの家「松本城の見える家」模型俯瞰

木組みのパッシブハウス「松本城の見える家」

木組みの家「松本城の見える家」模型東

片流の屋根と「せがい造り」が特徴です

木組みの家「松本城の見える家」模型玄関

梁の大きさや間隔も、じっくり検討しました。架構がそのまま意匠となる「木組のデザイン」です

「松本城の見える家」が始まります。 長野県松本市の、松本城が見える高台の敷地に”木組の家のパッシブハウス”が建ちます。

片流の屋根、板張りの外壁、2階をせり出す木組みならではの架構「せがい造り」が特徴です。

躯体は寒冷地仕様の高断熱で、薪ストーブを設置し、夏は家全体の通風を考慮した、冬暖かく夏涼しい”木組の家のパッシブハウス”になります。

「き」組メンバー、田中製材工業(俊建築設計室)さんが施工し、構造設計サポートは悟工房の山中信悟さんです。

架構には、貫と足固めを採用し地震にねばり強く、100年の長寿命、自然素材、無垢の木と漆喰による快適で省エネな木組みの家は、これからの木造住宅です。

竣工は来年5月を予定しています。
進行中のレポートは、随時更新いたしますので、ご期待ください!

松本城が見える高台の敷地

2014年08月12日 Tue

現代棟梁と呼ばれた田中文男さんのこと

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ダイフミさん

毎年8月9日は、田中文男棟梁の命日です。2010年に亡くなってから早くも5年がたちました。

田中文男さんほど現代の木造界に波紋を投げかけた人はいないでしょう。歯に衣着せぬ言葉は、どんな学者も、実務者も唸るしかないほど的確な発言でした。しかし時折見せる笑い顔は、子どものように純真な心が見える笑顔でした。だから「ダイフミ」さんの愛称で親しまれていました。

ダイフミさんが生きていれば、いまの伝統構法の扱いも変わったでしょう。だれよりも伝統技術を語れる大工棟梁で、すこぶる合理的な理論家でした。

わたくしがお世話になった現代計画研究所の藤本昌也先生と、民家型構法を開発し、木造界に旋風を呼んだのは、もう32年前になります。

「木造は軸組だ!」と言い放つダイフミさんには、みんな敬意を表しました。伝統構法でつくる家を「木組み」という言葉で呼び、その言葉は、日本中の大工や設計者を覚醒したのです。もちろん、わたくしもその一人です。

設計者の顔を見ると、「バカヤロー! お前らが日本の建築をダメにしたんだ!」といつも叱られました。日本の伝統構法を、学者や設計士には理解できないと思っていた節があります。それでも、いろいろ質問すると、継手や仕口のこと、施工技術のことをたくさん教えてくれました。

口癖は、「知識と知恵は違う」「技術と技能の融合が大切だ」でした。

「知識」は、やってイイことしか教わらない。しかし「知恵」は、やってはイケナイことを教わるのだ、ということでした。「イイことばかり教わってもイケナイことは分からないが、イケナイことを知れば、あとは何をやってもイイ、工夫と創造の世界が広がるんだ。」という言葉は、今も耳に響いています。

また、最近になってようやく、ダイフミさんの言っていた「技術と技能」の違いが分かってきました。「技術」は本からでも学べることですが、「技能」は自らの体が覚えることです。経験に裏付けされた技なのだ、と思い至りました。だから、職人の技能は、体得するのに長い経験が必要なのです。

ダイフミさんが、現状の家づくりの現場を見たとすると、たぶんその技能不足にがっかりするだろうと思います。なにしろ世の中は機械の時代、プレカット全盛で、柱や梁の骨組みの分からない家が増え続けているのですから。今後、省エネ法の改正に伴い、ますますその傾向は強くなるでしょう。

今日もダイフミさんの嘆き声が、草葉の陰から聞こえる気がします。だから、丈夫な骨をつくる「木組み」の家づくりをがんばらなくては!省エネ法にも負けないぞ! と、自らに鼓舞する命日でした。合掌!

2014年08月08日 Fri

松井事務所の夏季休業は15日~20日です

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松井事務所の夏季休業期間は以下の日程となります。

2014年8月15日~8月20日

期間中にいただいたご連絡は8月21日から順次対応致します。
ご迷惑をおかけいたしますがどうぞよろしくお願い致します。

2014年08月05日 Tue

「高円寺の家」お住まい内覧会(延期)

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※都合により、当初の日程を延期致します。
日程が決まり次第、当ページでお知らせいたします。

高円寺の家の建主さんから、
「夏の涼しさを体験しませんか?」
というお誘いがありました。
猛暑の夏【風のない日に風の通る】木組の家を、
みなさまで体感しに来ませんか?
「越屋根」と「地窓」と「吹抜」に隠された、
夏でもクーラーのいらない秘密をお披露目します。
お住まい見学会は、建主さんもいらっしゃいますので
木組の家の住み心地をお聞きできる貴重な機会です。
「木組の準耐火建築」「西日を楽しむ浄土寺格子」
「電気代が700円」「桧の浴室」
高円寺の家は、みどころ満載の木組の家です。
ぜひこの機会にお越しください。

建主さんはエッセイで日々の暮らしを綴ってくださっています。
連載「木組みの家に住んで。」は松井事務所のHPで掲載中です。

 

 

「高円寺の家」お住まい内覧会【夏】~風のない日に風の通る家~

開催日時:
未定(決定次第、当ページでお知らせ致します)
対象:家づくりをご検討の方
※一般向け見学会ですので建設業関係の方のお申込みはご遠慮ください。

<印刷用PDFはこちらです>

お申込み先:
松井郁夫建築設計事務所
電話:03-3951-0703 メール:ok@matsui-ikuo.jp
松井郁夫建築設計事務所お問い合わせフォーム

また、今回の内覧会にご来場の方には、
近日発行の「松井郁夫建築設計事務所の小冊子」無料プレゼントにご登録いただけます。
完成作品の解説スケッチ、書き下ろしエッセイ、写真集、65ページ以上の楽しい本になりました。
ぜひ奮ってご参加ください。

松井事務所小冊子エッセイ松井事務所小冊子表紙

松井事務所小冊子写真集 松井事務所小冊子図面

2014年08月03日 Sun

猛暑に土壁を考える見学会

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毎日うだるような暑さが続きます。

最近の気温は、全国で30度を超えることが当たり前になってきましたが、10年前にはこんなに毎日のことではなかったと思います。やはり、徐々に地球温暖化が進んでいると考えられます。

2020年の燃費の良い家をつくるための法改正・義務化など、省エネルギーの対策が厳しくなってくるのも、致し方のないことだと思います。

ではCO2をできるだけ放出しないで、日常を暮らすためには、どんな方法があるでしょう。

わたしたち設計者にできることは、まずは、風通しの良さを確保すること。風のないときには、温度差で空気を移動させる工夫もあります。そのためには、低い位置の窓から冷たい空気を入れて、暑い空気を排熱できる仕組みを作ることです。それには、腰屋根などが有効です。

また、外壁が温まりすぎないように断熱することも大切ですが、一度冷えた熱を逃がさない蓄熱する素材を使うことが大切です。それには、土壁が有効です。

人の体感温度は、室内の空気温度とその周囲の壁の表面温度との中間の温度になることがわかっています。つまり、室温が30℃ででも、室内の壁の表面温度が、26℃であれば、体感温度は28℃になります。これくらいならば、薄着であれば室内の生活も苦にならないでしょう。

土には蓄熱というすぐれた作用があります。この特性を生かして室内を造れば、外部の気温が高くても室内の体感温度は快適な数値まで落とせると考えられます。

さらに室内の湿度を調節する、吸放湿性能もあります。

湿度が下がれば、体感的に心地よいことはよく知れたことですが、これには土壁が最高の効果をあげます。わたしの事務所では、漆喰塗りを標準仕様にしていますが、建て主のみなさん、この時期に汗が引くと好評です。

室内には、土壁を使うことをこれからも、当たり前にしたいですね。

そこで、今月31日には、「高円寺の家」で猛暑の中で、室内温度を体感していただく「お住まい見学会」を実施します。詳しく決まりましたら、またお知らせいたします。ご期待ください。

2014年07月31日 Thu

いま「住まい」に求められること

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昨晩、WEB・HOME’sPRESSで「木組みの家」を取材して下さったコーディネイターの方とライターの方を交えて食事会をしました。

まずは取材の連載が、好評であったとのうれしい報告を受けました。3回とも250以上の「いいね」がついたそうです。なんと1回目は367の「いいね」がついたということです。通常は80くらいだそうですから、大変な反響だといえます。

また、HOME’sPRESSは、広告収入に頼らない自主的な運営によって、社会的にも公平な記事を書いていることも分かり、驚くとともに取材を受けたことを光栄に感じました。あらためて感謝です。

食事会ではいろいろな話をしましたが、これからの家づくりの方向について、いくつかお話を聞かせていただき、大変参考になりました。

なかでも、これからの住まいに求められることの一番は、「寿命」だということです。住まい手が求めるのは、長く住めるということ、つまり建物の寿命が最も気になるという話でした。最近の傾向として、「構造」「温熱」「劣化」がキーワードだと他でも聞いていましたので、なるほどと納得しました。

住まいの動向は、2020年に控えた省エネ法の改正、義務付け問題がクローズアップされて、ゼロエネや、スマートハウスなどがマスコミを賑わせています。どれも建物の性能を向上させることが大切ですが、建物本体の構造が長持ちしなければ意味のないことです。そこで、住まい手が求めていることが「寿命」だという話は健全だと感じました。

3.11以来、これまでの生活をあらためる方たちが増えていますが、控えめな暮らしと節電は3年が経過しても風化させてはいけないことだと改めて思いました。

人は人生の90%を建物の中で暮らすといいます。いまこそ、安全で快適かつ丈夫で長持ちする住まいが求められていると感じた会でした。お二人に感謝!

2014年07月30日 Wed

松井奈穂展のお知らせ

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松井奈穂は、東京芸術大学で日本画を学びました。若いころから子供に絵を教えることが好きで、今は川村学園小学校の図工の先生をしながら、小さな子どもの「アトリエ・かたつむり」を運営しています。

この度、千葉県の南房総市千倉町にある隠れ家的ギャラリーで、これまで描いた絵の展覧会を企画していただきました。遠いところですが、もしお時間ありましたらお運びください。生命力のある南洋の植物や、人物画が展示されています。

夏のひと時、海水浴も兼ねて千倉にお出かけください。みなさまのお越しを、お待ち申し上げております。

場所:ギャラリー・シーレ 〒295-0004 千葉県南房総市千倉町瀬戸1702 ℡0470-44-4893

 期間:8月1日から19日まで

ナホ展

2014年07月28日 Mon

省エネと体感温度

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連日うだるような暑さに覆われている、日本列島ですが、
出来るだけエアコンに頼らず、この暑さをしのぐ方法はないのでしょうか?

先日「伝統木造と省エネルギー」を考えるグループで、
体感温度について、興味深いお話しをお聞きしました。

以下は、「エクセルギー」という概念で建築環境を読み解く、宿谷正則先生のお話です。

わたしたちが暑さ寒さを感じるのは、気温だけが決め手ではないというのです。
室内の空気の温度が、体感温度とは限らないというのです。

つまり、その部屋の湿度や気流、着ている服や、
その部屋の天井、壁、床の表面温度によって感じ方は違ってくるということです。

また、部屋の表面温度から伝わる熱を、輻射熱と言いますが、
体感温度は室温と輻射熱の中間になるといわれています。

例えば、室内が30度の気温であっても、壁が26度であれば、
体感温度は28度ということになります。

室内の気温は、家を包み込む外皮の断熱性能で決まりますが、
体感温度は、もう少し複雑な要素が絡み合うようです。

ここで、わたしたち設計者が建物をつくる際に考えられるのは、
通風を促す窓の開け方と、室内をつくる天井、壁、床の素材ということになります。

気流は低い位置に開ける地窓や高い位置に開ける越屋根を設けることで、
気流をつくることはできると考えられます。

素材には、調湿効果のある木や土が良いということになります。

木も土も自然素材で、さまざまな性能を持っていますが、
熱伝導率だけを考えると熱を通しやすい数値になってしまうのですが、
蓄熱性能や、吸放湿性能が高いことが分かっています。

表面温度でいえば、木や土は触った時に感じる温冷感が、
アルミやガラスに比べて暖かくて優しいことは、みなさん体験していると思います。

これまでも、これからも、自然の恩恵を生かしながら、
無垢の木と土を使って、建物の環境をつくることが基本だと思うお話でした。

わたしたちは、省エネルギーに取り組む時も、
まずは自然素材の特性を生かし、新しいテクノロジーも取込みながら、
体感温度の快適な現代的な家づくりを進めたいと考えています。

2014年07月24日 Thu

「吉祥寺の家3」お住まい見学会は盛況でした

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木組みの家「吉祥寺の家3」お住まい見学会の様子1

7月20日に開催された「吉祥寺の家3」お住まい見学会はたくさんの方々にご来場いただき大盛況となりました。

小さなお子さんを連れたご家族の方から、老後のお住まいをお考えの方まで、木組みの家を体験していただけました。

建主さんも、茶室の床の間にお花を生けてくれました。

暑い日でしたが、クーラーをつけなくても風通しがよく、心地良いなかでの見学会となりました。

ご来場の方々にあらためて御礼申しあげます。
また、休日にお家にお邪魔させていただいた建主さん、ほんとうにありがとうございました。

これからも長く大切にお住まいになってください。
<匠>

(写真撮影:奈良岡忠、松井事務所)

 

木組みの家「吉祥寺の家3」お住まい見学会外観

木も植え始めました

木組みの家「吉祥寺の家3」お住まい見学会床の間

光を調節できる床の間

木組みの家「吉祥寺の家3」お住まい見学会の様子2

赤ちゃんもご来場

木組みの家「吉祥寺の家3」お住まい見学会居間

木組にぴったりの家具

木組みの家「吉祥寺の家3」お住まい見学会居間2

ラジオアンテナの置物

木組みの家「吉祥寺の家3」お住まい見学会二階2

2階手摺を通して見た吹抜

木組みの家「吉祥寺の家3」お住まい見学会二階

将来の子供室です