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2013年09月20日 Fri

「吉祥寺の家3」地鎮祭と遣り方を行いました

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木組みの家「吉祥寺の家3」地鎮祭

「吉祥寺の家3」地鎮祭を執り行いました。

神主さんが土地の神様を呼び、工事と家族の暮らしの安全を祈願して、また土地に還ってもらいます。

神主さんに鎮め物をいただき、このあと基礎工事の際に、地面に埋めます。

木組みの家「吉祥寺の家3」遣り方

次に、配置を決めました。水平と距離を見るので、水盛り遣り方といいます。

 

さあ、いよいよ着工です。

上棟は10月の中旬を予定しています。

上棟時には、見学会を予定しています。

この日が、一番の木組みの架構を見る機会です。

このHPで、ご案内いたしますので、是非お運びください。

2013年09月17日 Tue

職人言葉

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 私の妻の実家は、不思議な雰囲気の家です。和風の家なのにモダンな感覚があります。50年前の家なのですが、大工棟梁で建築家になった人が設計した家です。

 義理の親父がシナリオライターで、物書きでしたから、一日中家にいても、気にならない家を建ててほしいと注文したそうです。柱や梁が黒く塗ってある、桂離宮のような「黒木造り」の家です。

 はじめてその家の玄関に立った時は、妙に懐かしい気になりました。昔から知っているような空間で、ふるさとの町家に似ていました。違いは、モダンで粋なしつらえが随所にあったことです。和風なのにバタ臭いのです。

 ちょうど都市計画と建築のはざまで悩んでいた頃でしたから、この家を設計した人のところへ行きたいと思いました。26歳の時です。

 義理の親父の口利きで、何とか入れてもらったのはいいのですが、気難しい人で、気分屋さんでした。しかし、そこは元大工ですから、毎晩一緒にお酒を飲みながら、いろいろ教えてもらいました。飲まないと話してくれないのです。

 当時その事務所での担当は、コンクリート造の住宅でした。コンクリートも面白いのですが、木組は初心者には難しいからといって、教えてくれませんでした、時折、外弟子の方が来て図面を置いてゆきました。

 そこで、打ち合わせに来る職人たちの話を盗み聞きしていました。職人言葉は難しいです。隣の部屋で聞き耳を立てながら、わからない言葉があると、図面の隅にメモして、その晩にお酒を注ぎに行って聞き出します。

 ところが、その説明の中に、また分からない言葉が出てきます。こちらも酔っ払いながら聞いて、帰りの電車の中でまたメモをとって、次の日に聞くということを毎日のように繰り返しました。

 おかげさまで、独立して一軒目の仕事から大工言葉で話すことができました。職人と仲良くなることができたのも、言葉が通じたからかもしれません。むかしから、「大工と話すときは大工言葉で話せ」と言ったそうです。大学では、職人の言葉は教わらないですから。「門前の小僧習わぬ経を読み」ということでしょうか。

2013年09月12日 Thu

職人との付き合い

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 子供のころは、古い城下町の職人街で育ちました。大工さんや建具屋さんが住んでいて、作業場が通りから見えるような町並みです。大鋸屑(おがくず)がたくさん出るので、大鋸(おが)町と呼ばれていました。

 向かいの建具屋さんのおじいちゃん職人には、随分かわいがってもらいました。毎日建具屋さんの手仕事を見ることが楽しみでした。障子の組子という細い木材が、糊も付けずに格子に組みあがっていく姿に、子供ながら驚きました。

 「どうや、糊なんかつこうておらんで」と自慢するおじいちゃんの得意顔を、いまでも覚えています。まるで手品のように見せてくれる手仕事に憧れました。そのうちに職人さんを尊敬するようになりました。美術大学に入ったのも、手仕事の素晴らしさに目覚めたからだと思います。

 家づくりは職人の手仕事の集大成ですから、職人との協働作業は大切です。この仕事に就くまで、しばらく職人さんとの付き合いを忘れていましたが、一軒目の家づくりからすぐに思いだしました。

 口が悪くて、こわもての職人さんも多いのですが、実は、みんなナイーブです。手の器用な人は、自分の仕事に自信を持っていますが、口下手です。

 だからわたしの役割は、建て主さんと職人さんとの橋渡しみたいなものです。職人同士は、隠語といって業界用語で話しますから、なかなか一般の人には通用しません。分かりにくい職人言葉も通訳しなければなりません。

 そこは職人の中に入って、飲みにケーションです。自分で言うのもおこがましいのですが、どうやらわたしは職人さんに好かれるタイプのようです。今日も職人と一緒に、建て主さんに現場の説明をしに行きます。

 夕方に寄るのはもちろん焼鳥屋です。ここでの仕事の話が一番はずみます。毎回、建て主さんのためにも、いい建物をつくろうと言って帰ります。

2013年09月11日 Wed

「吉祥寺の家3」材木検査を行いました

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木組の家「吉祥寺の家3」材料検査

「吉祥寺の家3」の材木が、キューブワンハウジングさんの下小屋に届きました。

静岡県天竜の山から伐り出した木で、梁は杉、通し柱は五寸角の見事な桧です。

建主さんと一緒に、柱梁とも一本ずつ検査しました。

この無垢の木が、大工さんの手で刻まれて、吉祥寺の地で木組みの住まいになります。

いまから上棟が楽しみですね。

木組みの家「吉祥寺の家3」材木検査

これから手刻みがはじまります

2013年09月03日 Tue

住まいから寒さ暑さを取り除く

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3.11以降、エネルギーの問題から、省エネを考えない家づくりは成り立たなくなってきています。

国の省エネルギー基準も、2013年10月改正に向けて動きがあわただしくなってきました。

住まいづくりにかかわる人たちの間では、いかに燃費の良い家をつくるのかが課題になっています。

そこで、表題の「住まいから 寒さ暑さを取り除く」という本が出版されました。

北海道大学名誉教授・荒谷登先生の著書です。

副題には、採暖から「暖房」、冷暴から「冷忘」へ、と書かれています。

北海道で1976年から2010年までに発行された5冊の本を再編集されたものです。

この本に書かれている住まいの温熱環境の話は、本州と北海道の気候の違いを超えて、つくり手や住まい手に是非読んでいただきたい内容です。

わたしたちが日頃考えている暖冷房の考え方が、一変するでしょう。さらに、日本の伝統的な建物の知恵や工夫が見直されるでしょう。

例えば、いろりやこたつは採暖の代表的な例であり、暖房は、「房」といわれる空間を、温めるというより「ある温度に保つ」ことが目的だといいます。

そこでは寒さを持ち込まないことが重要になります。つまり断熱が主役となります。

また、日本の民家は通風を大切にしていますが、室内の発生熱を上方に排出する工夫である、通り庭、煙出し、透かし欄間、隙間の多い竿縁天井など、上方開放が重要であり、熱容量の大きな土間は冷却面として働いていた等、民家と自然エネルギーの関係がよくわかります。

これからの家づくりの開放性を楽しむには、冷気流が起こらない室内のつくり方が大切な点など。空気の性能を知り尽くした先生の示唆に富む話ばかりです。

さらに日本の伝統の持つ良さに着目して、家づくりをすることが大切であり、欠点の克服ばかりに科学の目を向けては、見失うことが多いことなど。荒谷哲学といえる内容です。

この本は名著だと思います。これからのエネルギーを考える上で、しっかりとした羅針盤を得た気がします。

 

2013年08月27日 Tue

「南房総の民家再生」完成内覧会は盛況でした

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南房総の古民家再生竣工「外観」

先日開催された「南房総の民家再生」完成内覧会は、たくさんの方にお越しいただき大盛況でした。

古民家の多く残るこの地域の方々もお見えになり、築106年の家がモダンに再生された様子をご覧になっていました。 調査にご協力いただいた住宅医ネットワークのみなさんや、宇都宮城復元を手掛けた山本兵一棟梁もお越しになり、実務者の方々からも好評でした。「南房総の民家再生」アーチ130726

 

「南房総の民家再生」完成内覧会、大兵さん

宇都宮城復元を手掛けた大兵さんもお越しになりました

詳細な調査に基づき、石場建てのまま、耐震・省エネ改修する、これからの古民家再生です。

内覧会を開催させていただきました建主様に改めて御礼申し上げます。

「南房総の民家再生」完成内覧会浴室前

各地からたくさんの方にご来場いただきました

「南房総の民家再生」完成内覧会住宅医スクールの皆さん

調査にご協力いただいた、住宅医スクールの皆さんです

2013年08月06日 Tue

「南房総の民家再生」完成内覧会開催のおしらせ

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「南房総の古民家再生」完成内覧会のご案内 「南房総の民家再生」の完成内覧会を開催させていただけることとなりました。

この家は、明治40年に建てられた、房総の地域によく見られる古民家です。
骨組を石の上に載せ、土壁を塗り、瓦を葺いてから106年の歳月が流れました。
このたび、現代生活に古民家の価値を活かしながら、新しく生まれ変わることとなりました。
構造の解析の結果、石の上に置いたままで、大きな地震に耐えることが分かりました。
そこで、足元を取り換え、土壁を活かし、耐震と省エネの改修を行いました。
未来への可能性をもった、むかしの民家の知恵と工夫をどうぞご覧ください。

 高画質案内チラシはこちら

 

「南房総の古民家再生」完成内覧会

開催日時:
2013年8月17日(土)
11:00~16:00

参加をご希望の方は、住所、氏名、ご職業を明記の上、松井郁夫建築設計事務所までご連絡ください。

お申込み先:
松井郁夫建築設計事務所
電話:03-3951-0703 メール:ok@matsui-ikuo.jp
松井郁夫建築設計事務所お問い合わせフォーム

2013年08月06日 Tue

「南房総の民家再生」開放的な浴室

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南房総の古民家再生竣工「外観」

南房総の古民家再生竣工「浴室」

「南房総の民家再生」が完成です。

築106年の古民家が、その趣を残したまま、モダンに仕上がりました。

耐震、断熱エコ改修です。

お風呂は窓がすべて引きこまれて、露天風呂のようになります。

完成内覧会でぜひ御覧ください。
お申込みをお待ちしております。

お申込みはこちらからどうぞ。

南房総の古民家再生竣工「居間」 南房総の古民家再生竣工「ダイニング開口部」

2013年07月30日 Tue

「高円寺の家」西日を楽しむ格子

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「高円寺の家」西側窓浄土寺格子

「西日を楽しむ家」の完成です

「高円寺の家」の西窓に、浄土寺浄土堂をイメージした格子が設置されました。 格子の隙間から光が入り、漆喰の壁には格子の影が落ちます。「西日を楽しむ家」です。

そこで建主さんのご厚意により、【高円寺の家「西日を楽しむ」内覧会】を、10/6(日)に開催させていただけることになりました。 詳細は後日、当サイトでお知らせいたします。ぜひこの機会にお申込みください。

「高円寺の家」格子を通した夜の光

格子を通って漆喰に映る、夜の光です

2013年07月26日 Fri

「南房総の民家再生」床と壁が仕上がりました

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「南房総の民家再生」アーチ130726「南房総の民家再生」床の養生がとれ、仕上がりがあらわれました。
これから設備が設置されます。築106年の古民家の再生が、もうすぐ完成します。

8/17(土)の完成内覧会へのお申込みをお待ちしております。

お申し込みは、こちらのフォームからどうぞ。詳細な地図をお送りします。

2013年07月25日 Thu

日経アーキテクチュア掲載【究める住宅】高円寺の家

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日経アーキテクチュア究める住宅「高円寺の家」
日経アーキテクチュア[2013年7月25日号]の【究める住宅】シリーズに、「無垢の家で準耐火建築物に」と題して、高円寺の家が掲載されました。

住宅密集地に建つ、準耐火建築の木組みの家として、注目を集めています。
狭小地、厳しい防火規制、南側の建物の日影、多くの課題を乗り越えて完成した無垢の木の家です。
外壁に無垢板を張り、玄関も木製ドアにした方法や、エアコン1台で全室を空調する省エネの工夫も掲載されています。

記事はこちらです。ぜひ御覧ください。

2013年07月19日 Fri

「南房総の民家再生」浴室石貼

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「南房総の民家再生」浴室石貼工事

十和田石が貼られました

「南房総の民家再生」は順調に大工工事が進んでいます。 浴室には十和田石が貼られました。 十和田石は水はけがよく、滑らないので安心です。 お湯をかけるとすぐに温まる性質もあり、冬も足が冷えません。

「南房総の民家再生」アーチ開口130719

漆喰塗りも進んでいます

ダイニングとリビングをつなぐアーチの開口部も 漆喰が塗られました。 順調に完成に近づいています。

建主さんのご厚意により、 8月に完成内覧会を開催させていただけることになりました。

後日、当サイトで告知とお申込みの受付を開始します。ご期待ください。

2013年07月12日 Fri

ランニング

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最近、走っている。昼の猛暑を避けて、早朝ランニングだ。

朝もやの中の森は緑が豊かで、すがすがしい。ここは元中野療養所という結核病院の敷地であった。

かつては、公園に植える樹木の苗圃であり、その後、空気のよい丘の上だったので結核病棟が建てられたのだった。

そのむかし日米親善のためにワシントンに桜を送った返礼に、花水木が送られてきてここの苗圃に植えられたという。

10年ほど前に、療養所がなくなることとなり、近くの住民の方と一緒に、緑地にしてほしいと要望してできた森である。

子供たちを集めて自然遊びのワークショップをしたり、区の公園課の人たちと話し合いをしたことを覚えている。

今では広い緑地と石神井川の調整池を合わせて「江古田の森」として区民に親しまれている。

朝夕には散歩やランニングの人でにぎわい、日中には木陰で休む人がいる。最近まで蛍のせせらぎもあった。

ここを走っていると、街中と気温が違うことに気付く。土があり緑があるおかげで、ここはひんやりとして涼しい。

近くには哲学堂があり、みんなでつくった「屋敷森緑地」もある。

走りながら、この町のと付き合いも長くなったなぁと考える。

我が家の子供たちにとってはここは故郷であり、わたしにとっても第二の故郷となってきた。

早朝ランニング

早朝ランニング

2013年07月02日 Tue

「登戸の家」が始まります

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木組みの家「登戸の家」SketchUp外観130702

「登戸の家」が始まります。

木組みの家ならではの「せがいづくり」で、小さな敷地に、2階を張り出して広がりのある家をつくります。
2階のリビングは12畳の吹抜け、一番小さな個室でも8畳の広さがあります。
狭さを感じさせない室内空間を考えました。
これから実施設計です。

2013年06月29日 Sat

「南房総の民家再生」土壁

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古民家再生「南房総の家」土壁漆喰おさえ

古民家再生「南房総の家」貫摺り

古民家再生「南房総の家」土壁木摺

南房総の家の壁は土壁です。

土壁は、部屋の湿度を調節したり、ストーブの熱を蓄える性能があるので、再生では、既存の土壁を補修して仕上げます。

表面を落とすと、むかしの職人の丁寧な仕事が出てきました。

貫に伏せた棕櫚や、地離廻りの漆喰抑え、木小舞の上の漆喰塗など、今では見られない丁寧な仕事です。

この左官塗を大切にして改修を進めます。

2013年06月22日 Sat

木組みの家「お住まい内覧会ツアー」のご報告

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先週「お住まい内覧会ツアー」が行われ、建主さんたちのご厚意で、1日に2棟の木組みの家をご案内することができました。
当日は、ご参加の方たちに無垢の家の暮らしをじっくりと見ていただきました。

「高円寺の家」はお一人住まい、「小竹の家」は2人のお子さんのいるお宅です。
当日は、それぞれの家の違いを体験していただけたかと思います。
建主さんからは、木組みの暮らしの実体験をお話いただき、内容の充実した内覧会になりました。

ご参加のみなさま、お家を見学させていただきました建主さん、どうもありがとうございました。
これからも末永く大切にお住まいください。