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2020年10月19日 Mon

「初めての人にもできる!古民家再生絵本」発刊

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「初めての人にもできる!古民家再生絵本」が発刊になりました。

「古民家への道」「初めての人にもできる!木組の家づくり絵本」との姉妹本です。

今回は、古民家の耐震性能と温熱性能の向上のノウハウをすべて公開しました。

本書に掲載されている「漢方の本陣」は、2019エコハウス大賞と2020ウッドデザイン賞を受賞いたしました。

古民家再生の実務者の方には、きっと役に立つ絵本になったと思います。

今週の末には書店に並びます。Amazonでも買えます。

わかりやすい緻密なイラストが特徴です。

是非お手にとってご覧下さい。

以下趣旨説明です。

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本書は、古民家の構造と美学を紹介した「古民家への道」(既刊)の姉妹本として描かれています。

「古民家への道」で掲載いたしました理論と事例の、実践的な再生法を図説する絵本です。

これからの未来に向けた、古民家の「なおしかた」を、歴史と技術の両面から解説しています。

今私達の住んでいる住いは、古代の竪穴式住居から現代住宅に至るまで、その仕組みの原理原則に大きな違いは無いと考えます。

私の家づくりの原点は、古民家といわれる明治以前に建てられた日本独自の「民(たみ)の家」です。

ところが、日本の家は、明治維新で西欧化し、第二次大戦後にアメリカンナイズしたことによって構法の変化が起こり現在に至っていると考えられます。

そこで本書では、古民家の優れた理念や技術が、明治以来継続してこなかったことに注視して、古民家と呼ばれる伝統家屋の優位性を、その理念と技術に学ぼうと考えました。

つまり150年前に失われた日本独特の古民家の技術を、現代に伝え広めたいと考えていたのです。

日本の民家は、強度によって力を押さ込む「強度設計」ではなく、柳に風の力を逃がす「減衰設計」です。生命を守るためには、自然の猛威をいなす古民家の知恵を見直すことが必要だと考えています。

さらに古民家は、地理的、民俗学的な視点からも、日本の気候風土にそった美しさがあります。

そこで、柱・梁構造による壁に頼らない「限界耐力計算」を駆使した日本の住いの行方を追求する必要があると考えます。

この本では、わたくしが取り組んできた再生事例を中心に、その具体的な手法をイラスト化しています。

「耐震性能の向上」や「温熱性能の向上」の両方を実現化する手法も紹介しています。

日本の優れた文化を子孫に伝えるためにも、多くの人に古民家の再生を実践してほしいと考えています。

そのために、「古民家に住みたい人」や「古民家を再生したい」初心者向けて書かれた解説書です。

今のわたくしの考えられるだけのノウハウを余すところなく描きました。お役に立てれば幸いです。