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2014年04月04日 Fri

11期を迎えた「木組のデザインゼミナール」

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わたしたちが、いまつくっている木造住宅は、本当に日本の家といえるのか?世界に誇る大工職人の技術と技能を持ちながら、伝統的な日本の住まいをつくってきて来たのか?

阪神大震災を契機に、日本の木の家とは何かを考え、実践してきた仲間と始めた講座が11期を迎えた。

実務者のための伝統的な木造住宅の技術と技能を習得する「木組のデザインゼミナール」である。これまでに147名の修了生が、現場で活躍している。

講座の目的は、伝統構法の木組の家づくりの技術を身につけていただくことにある。

残念ながら、現在の日本の建築教育は、大工技術や民家の流れを組んではいない。明治以来、日本の大学では、本格的な木の家づくりを教えているところが少ないのが事実である。

設計者の多くは、社会に出て現場に立って初めて、木造建築を知ることになる。しかし、大工には大工の言葉があり、現場では学校で教わる知識では分からないことが多いのも事実である。

そこで、西洋建築の教育を受けた設計者から伝統木造の苦手意識をなくし、難しいとされている大工言葉を知り、職人と会話のできる設計者を育成することが必要と考えたのである。

「木組ゼミ」では、伝統的な木組の習得を、各自が設計した住宅の木組の模型(1/50)をつくりながら、木拾いから木の特性、間取りのつくり方や木材の規格寸法の理解、地盤から基礎、柱・梁・小屋組、耐震の工夫まで、木造の基本を体得できるようなプログラム構成となっている。

教科書は、木造住宅「私家版」仕様書(松井郁夫・小林一元・宮越喜彦:共著 エクスナレッジ)を使い、著者3人がマンツーマンで実践力が付くまで教える。

このゼミでは、木組の習得だけが最終目標ではなく、日本の町並みを美しくしたいとの想いを込めて、美術教育(デッサン・色彩構成・立体構成)も行っている。美しいプロポーションや色彩、立体構成力を学ぶ講座である。

さらに、実践的なカリキュラムとして、省エネ法の改正に向けて「温熱計算の実習」や、伝統構法に適した動的構造解析の「限界耐力計算の実習」などの講座もそろえている。明日からでも使える講座である。

受講生の顔ぶれは、大工棟梁や若い職人さん、設計事務所の主催者や駆け出しの所員、専門学校の先生、学生まで様々であるが、みなさん熱心に一カ月一度の講座に通ってこられる。この講座を修了して、すぐに木組の家に取り組む実務者も多く、修了生がそのままワークショップ「き」組の会員として活動する機会もある。

本講座は、即、実践力の付くゼミとして、志ある実務者にはオススメの講座である。残り3名の余席があるので、お申し込みはお早めに。